どうも、あきです。
この時を待っていた人も多いのではないでしょうか(え? いない?)。VC音素の原音設定、早速行っていこうと思います! どうぞ力を抜いて取り組んでいってください。
~④(2)後編の目次~
1.VC音素の原音設定をしよう
2.子音単体の原音設定?
3.その他の音素の原音設定は……
1.VC音素の原音設定をしよう
もう一度、子音の種類を確認しておきましょう。
(『あき式CVVCリスト』に付属しているoto.iniには「ty」「dh」のVC音素がなく、「v」のVC音素があります。ご注意を。)
ではVC音素(「a s」「e t」等)の原音設定をしていきます。種類は二種類です。二種類? 楽勝では? はい、確かにCV音素と比べれば種類が少なくやりやすそうです。しかし、このVC音素の原音設定こそが、CVVC音源の制作において難しいと言われる所以です。ここの設定を雑にやってしまうと、歌わせた時に滑らかに歌ってくれない、変な音が鳴る、リズムがずれるといった原因になります。その判定はかなりシビア。筆者も散々苦労しました……が。
脅すようなことを言って申し訳ありません。VC音素は腰を据えて取り組むに越したことはないですし、集中力も必要です。しかしそれでも、二種類、二種類しかない。ポイントを押さえながら取り組めば何も難しいことはありません。それもCV音素の原音設定をしたあなたなら、スペクトルの見方も音の聴き取りも、この記事を見る前と比べれば断然成長しています。大丈夫、しっかりサポートするのでついてきてください。
まずは二種類の分かれ方を説明します。
①k, ky, t, ty, ch, ts, g, gy, d, dh, b, by, p, py以外(s, sh, n, ny, h, hy, m, my, r, ry, y, w, z, j)(上の表にはないが、「v」はココ)
②k, ky, t, ty, ch, ts, g, gy, d, dh, b, by, p, py(「q」はココ)
繰り返すようですが、人によって発音の仕方が違うので、この分け方が絶対というわけではありません。今回も以下にそれぞれのスペクトルと設定の仕方を挙げますので、見比べて判断してください。
※『F8』を押すと左ブランクから右ブランクの範囲の音声が聞けます。しっかり耳で聞きながら各パラメータを設定していきましょう。
① ②以外(s, sh, n, ny, h, hy, m, my, r, ry, y, w, z, j)
- 左ブランク:触らない
- オーバーラップ:(数値は71)
- 先行発声:前の音の終わり(数値は214)
- 子音部:先行発声~右ブランクの1/2
- 右ブランク:母音の前(※母音が鳴らないところ)
ここのポイントは右ブランクです。間違えて母音を入れてしまわないように、しっかりと耳で聴き分けましょう。
②k, ky, t, ty, ch, ts, g, gy, d, dh, b, by, p, py
- 左ブランク:触らない
- オーバーラップ:(71)
- 先行発声:前の音の終わり(214)
- 子音部:先行発声~右ブランクの1/2(※必ず無音部分に置く)
- 右ブランク:無音部分
他のVC音素では子音を残すのですが、②の子音は歌わせた時に子音が二回鳴ってしまうのを防ぐため、子音を切り落とします。
※子音を残す設定を推奨する人もいるそうです。子音だけを発音する無声音化させたい場合には、子音を残した音素は便利です。「あき式CVVCリスト」に付属しているoto.iniでは、子音を切り落とす「a t」等と子音を残す「a t'」等といった具合に作り分けています。
---子音を残す場合の原音設定↓
- 左ブランク:触らない
- オーバーラップ:(数値は71)
- 先行発声:子音の始まり(数値は214)
- 子音部:先行発声~右ブランクの1/2
- 右ブランク:子音と母音の間
VC音素の原音設定は以上です。
2.子音単体の原音設定?
CVVC音源では子音単体の音素を設定している方がいます(好みです。あった方が便利)。子音単体? 歌わせるときどう使うの?と疑問に思う人も多いでしょう。一言で言うと、無声音のときに使います。
無声音とは子音だけを発音する音のことを言います。「です」や「ます」の「す(s)」の部分がそれにあたりますね。その人の発音の仕方にもよりますが、「いつから」の「つ(ts)」の部分や、「ひとつ」の「ひ(hy)」の部分も無声音になっている方がいるでしょう。
本当は音声貼り付けて聞き比べてもらいたかったんですけど、記事に音声ファイルを貼るやり方がうまくできなくて諦めました……無声音、気になる人は検索するか実際に歌わせて確認してくれ~~~
子音単体の原音設定は極めて簡単です。
- 左ブランク:子音の始まり、もしくは前の音が終わるところ
- オーバーラップ:左ブランクと同じ(0でok)
- 先行発声:左ブランクと同じ(0でok)
- 子音部:先行発声~右ブランクの1/2
- 右ブランク:母音の前(※母音が鳴らないところ)
あくまで子音のみの音素なので、子音以外の音が入らないように注意してください。聴き取り必須です。
子音単体の原音設定は以上です。
3.その他の音素の原音設定は……
「あき式CVVCリスト」のoto.iniには、これまで説明した音素の他に、「・ あ」等、「a ・」等、「a R」等、「a 吸」等、「a 息」等があります。また、今回筆者が作成した「試作機11号」には、「吸1」「息1」等を付属しています。本当は該当するサイトの説明を読んでもらった方がいいかと思ったのですが、調べたところ人によって個人差がありまくってたので、僕流のやり方を載せておきます。
---「・ あ」等
- 左ブランク:無音部分
- オーバーラップ:左ブランク~先行発声の1/2
- 先行発声:母音の始まり
- 子音部:母音が安定したところ
- 右ブランク:音の終わりから見て音が安定したところ
---「a ・」等
- 左ブランク:触らない
- オーバーラップ:(71)
- 先行発声:前の音の終わり(214)
- 子音部:先行発声~右ブランクの1/2
- 右ブランク:無音部分(雑音が入っていたらそこを切り落とすように)
---「a R」等
- 左ブランク:触らない
- オーバーラップ:(71)
- 先行発声:音の終わり(214)
- 子音部:完全にスペクトルが消えるところ
- 右ブランク:無音部分
---「a 吸」等
- 左ブランク:触らない
- オーバーラップ:(71)
- 先行発声:音の終わり(214)
- 子音部:吸った後の、完全にスペクトルが消えるところ
- 右ブランク:無音部分
---「a 息」
- 左ブランク:触らない
- オーバーラップ:(71)
- 先行発声:音の終わり(214)
- 子音部:吐く音がある程度終わった辺り(300以上が好ましい)
- 右ブランク:無音部分
---「吸1」「息1」等
- 左ブランク:触らない
- オーバーラップ:(0)
- 先行発声:(0)
- 子音部:吸った後完全にスペクトルが消えるところ、もしくは吐いた後の音があらかた終わったところ
- 右ブランク:無音部分
以上です。
これで原音設定の説明を終わります。筆者が行った原音設定は二時間半で終了しました。みなさんの場合は一つずつ確認しながらの作業だったと思いますので、もう少しかかったかと思います。あくまで筆者のタイムは一例ですのでお気になさらず。
今あなたのお手元には最大の難関を乗り越えた音源が出来上がっていることでしょう。本当にお疲れさまでした。ひとまず深呼吸してください。お茶も飲みましょう。休息大事です。
さて、今すぐにでも歌わせてみたい! そのお気持ち、痛いほどよくわかるのですが、音源を歌わせるためにはもうひと手間必要になってきます。そう、周波数表ファイルの作成です。次回はそのやり方について解説していきます。よろしゅう。
続き→CVVCのUTAU音源を作ろう!⑤~周波数表ファイルの作成~ - たんぽぽの備忘録